研究課題
経済活動の急速なグローバリゼーション下、特にそれを要因とする危機や社会不安発生時に、当該国の社会経済体制、経済マネジメント、企業統括、金融セクター運営においての総じてプア・ガバナンスが指摘されるにいたっているが、健全なガバナンス、社会制度を含んだ国家ガバナンス、経済ガバナンスの守備範囲、これと経済パーフォーマンス、(均等成長、貧困減少などの)社会パーフォーマンスとの相関関係、因果関係に関する分析、即ち、国際化が社会経済変数に影響を及ぼす過程で、開発ガバナンスがどの様な形でそのコントロール・ファクターとなってきたのかを分析することが本研究の主目的である。研究期間最終年度である来年度には社会経済システム分析(数理比較制度分析)の構築にも取り組む予定である。初年度は、ガバナンス議論の整理、開発ガバナンス諸要素の計量化に関する先行研究、データベース整理を行った。また、所得格差に関する国際的データベースの取得整理を行うとともに、タイ、インドネシアにおいてその国特有の所得データ、地域データとグローバリゼーションの諸側面を計る指標の収集に着手した。本年度は、1)ガバナンス、所得格差、地域間格差データにつき、タイ、インドネシアに続いてメキシコと中国について関連データ構築をスタートさせた。メキシコを事例に国際化と地域格差および中央政府の地方開発に関する政策スタンスとの因果関係の初期分析を試みた。2)グローバリゼーションの進捗の諸側面と、所得格差、地域格差との関連につき、ガバナンスの諸要素をコントロールファクターとする横断的計量分析を開始した。3)ワシントンの数理モデルグループと交流、世界銀行の関連研究とデータを収集のため、米国に調査出張を行った。4)「開発ガバナンス」の大学院講義を平成16年度に立ち上げたが、本年度は実験経済学の手法を用いて、公共政策の重要性に関する分析を行った。5)地域間格差に大きく寄与しているFDIについて、わが国のアジアにおける海外直接投資の一般均衡モデル分析を行い結果を学術誌において出版した。6)経常収支の発展段階に関して、わが国とアジア諸国との関係分析を行いその結果を学術誌において出版した。
すべて 2005
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Forum of International Development Studies Vol.28
ページ: 1-33
国際開発研究‘Journal of International Development Studies' Vol.14, No.1
ページ: 1-29