研究課題
本研究では、日本の港湾を取り巻く環境の構造変化を背景に、わが国港湾のグローバル・ロジスティクス競争優位戦略を、とりわけ神戸港と大阪港の視点よりアジア物流とのかかわりで考察して、隣接する2港の競合関係の視点より分析するとともに、他方において、わが国の8大コンテナ港のグローバル物流における戦略的地位を位置づけることによって、わが国港湾の競争優位性のみならず、その劣位化の原因を実証的に考究した。考察を加えた環境構造変化の第1は、アジア経済と物流の急激な台頭していること、第2は、企業の物流戦略が、企業内で管理されるというロジスティクス指向性と企業間取引へと拡大されたサプライチェーンマネジメント指向性を帯びつつ、重層的発展を遂げていること、第3は、物流業が、アームズレングス型取引の優勢な中で、これら荷主企業のパートナーとなって調達・販売戦略をサポートする3PL業としての発展を確実にしつつあることである。環境構造が変化する中で、物流業として国際物流と国内物流を連結する港湾業にも、世界に目を開いた戦略対応が求められる。そのなかで代表例として選んだ神戸港と大阪港は、隣接競争港として、ゾーンとしての運営を連携すれば得られたであろう対外競争力を確保できずに、資源の浪費をしていることを実証している。さらにこの傾向がわが国港湾に概ね共通して現れていることが、8大コンテナ港データと地方港データを分析することによって明白となり、集中度の低下と過剰なネットワークに支えられた8大港の見かけ上の競争優位構造を実証的に浮き彫りにし、すでに地方港は外国との港湾の直接的連結によってわが国港湾のグローバルネットワーク構造に吸収されていることを論証する。日本の港湾の国際的劣位を転換するには、スーパー中枢港湾構想に加えて、保税制度を拡大したロジスティクスパーク構想の同時展開が必要であることを政策的に提言する。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
運輸と経済 65巻1号
ページ: 46-47
World Shipping and Port Development(T.W.Lee, K.Cullinane(eds.)) Palgrave Macmillan(印刷中)
海運経済研究 38号
ページ: 1-10
日本学術会議大都市をめぐる課題特別委員会報告資料
ページ: 1-13
日本学術会議シンポジウム「大都市の未来のために」講演資料
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港湾 81巻・8号
ページ: 10-13