まず、「「権力関係」の分析方法」について考えた。「権力」を「実体」としてとらえるのではなく、「関係」としてとらえる立場から、「権力構造」を分析する必要性を示すものだ。ついで、「ロシアの行政改革と「現実」」として、プーチン政権下で行われている行政改革そのものを明らかにした。いわゆるグローバリゼーションとよばれる地球規模で広がる潮流のなかで、マクロレベルでは、行政改革が、ミクロレベルでは、企業統治が問題になっている。そこで、この2点について、現状分析をすることにしたわけである。このため、「ロシアの企業統治と「現実」」についてもまとめた。ロシアの企業統治に関する文献は多くあるが、その「現実」に鋭く肉薄した論考は少ない。こん研究はは重要な研究成果を示している。「ロシアのマスメディアと「権力関係」」として、マスメディアそのものの現状分析も行った。「第4の権力」の「現実」を詳細に考察したものである。ここでは、今後の展望をかねて、試論として「権力関係」についても分析してみた。「ロシアの軍産複合体と「現実」」として、軍産複合体も詳しく分析した。軍産複合体は「軍」、「産」にかかわる重要な企業体だから、今後の「権力分析」のうえでも重要であると考えている。「ロシアのレントと課税をめぐる諸問題」として、いわゆる「自然レント」にかかわる問題を課税と関連させながら論じてみた。「権力関係」を考察するうえで、重要な視角をあたえてくれるからだ。レント問題を課税と関連させることで、今後行う「権力関係」の分析に役立てたい。「クラスノヤルスク地方の知事選をめぐる「権力関係」」とおいて、2003年に同地方に出張した成果をとりまとめた。
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