日本から各受入国に対して拠出された経済協力支出のパネルデータ構築を継続した。まず、無・有償資金協力額に関しては、外務省「政府開発援助(ODA)国別データブック」の最新版からデータを更新した。そして、有償食料援助と金利に関しては、昨年まで採用していた経済産業省「経済協力の現状と問題点」が絶版となったため、国際協力銀行から直接情報公開いただくことにより更新した。もちろん、前年同様、同一プロジェクトに対する有償援助に対し金利が複数存在する場合は、国際協力銀行から各金利に対応する額を再度請求する形で直接情報提供いただいた。 昨年度に引き続き、日本の贈与額の大きな部分を占める技術援助額のデータを増補した。昨年同様、日本の技術援助額の5割以上を実施しているJICAから、各受入国に対する分野別技術援助データを直接情報提供いただいた。昨年度、JICA以外の機関により実施された技術援助は、実施機関が外務省、財務省、経済産業省、国土交通省、文部科学省、農林水産省など、非常に多岐に渡るなどの理由から、公開されなかった。 今年度は、厚生労働省の労働分野に関する援助の一部を入手することができた。また、経済産業省の主要な技術援助実施機関である海外技術者研修協会(AOTS)のデータについても現在調査中である。残念ながら、情報公開が困難なデータも多数存在しているようである。当研究のデータセットには、有償、無償、技術援助の区別なく、日本から各受入国への全分野別支出が必要であり、このデータの不備から来る影響は大きいと思われる。 現在、OECDの援助対象分野に合わせて、データセットを再分類している途中なので、来年度には、一応データセットの構築を完成させ、基礎的な計量分析に踏み込みたい。
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