研究課題
基盤研究(C)
このリサーチは、形成過程にある欧州連合(EU)の社会政策を理論的および実証的に研究することを通し、経済的活力と社会的公正の均衡が保たれた社会のあり方を模索・提案することを目的とした。特にEUは、ドイツや北欧諸国の(ネオ)コーポラティズムを背景に、欧州レベルの"ソーシャル・ダイアログ(労使社会対話)"を発達させてきた。社会政策形成のコアに位置づけられるこの制度は、例えば市場状況を背景にした一方的決定ではなく、マクロ(EU)、メゾ(産業)、ミクロ(企業)の各レベルの当事者間の協調的対話により経済や組織を管理・運営する仕組みとして理解できる。今期の調査研究は、EUマクロレベルのソーシャル・ダイアログの現状理解と機能分析をテーマとした。特に、それを各国(ネオ)コーポラティズムの構造と機能の中に位置づけ、比較することを試みた。コーポラティズム型制度、賃金調整、社会。雇用政策などにおける政策協調(ポリシー・コンサーテーション)、歴史的変化の4項目を取り上げ、それぞれの基準に関して、EUシステムとスウェーデン、オランダ、ドイツ、フランス、イギリス、アイルランドなどの(非)コーポラティズム社会のものを対比した。現在のEUソーシャル・ダイアログの制度と機能は、特にネオコーポラティズム型制度と比した場合、"擬似(または半)"コーポラティズムに届かないかも知れない。しかし、それはなお形成途上にあり、シビル・ダイアログ(市民対話)と関連した参加型民主主義の展開、メゾレベルの賃金調整の可能性などを指摘、また新たなリサーチのテーマとした。なお、このリサーチは、担当者が行ってきたEUミクロレベル制度の形成と機能分析に対応しており、成果報告書は、コーポラティズム型システムのもつ重層性に配慮する形でまとめられている。
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豊橋創造大学紀要 第10号
ページ: 19-35
Asia-Pacific Journal of EU Studies (forthcoming)
豊橋創造大学紀要 第8号
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ページ: 1-17
経済社会学会年報 第XXVI号
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日本EU学会年報 第24号
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European Works Councils : Pessimism of the Intellect, Optimism of the Will? (London : Routledge.) (I.Fitzgerald, J.Stirling)