研究概要 |
今年度の成果は主として以下の2点である。1つは理論モデル構築のための文献整理およびサーベイである。もう1つはニュージーランドにおける資料収集およびその整理である。 まず,前者についてはBos(1991)による"Privatization, A Theoretical Treatment"にある"Government Budget and Privatization"とHuizinga and Nielsen(2001)による"Privatization, public investment and capital income taxation"との統合を目指した。Bosでは政府の予算面から公的部門の私有化を考えようとするのに対し,Huizinga and Nielsenは公的部門の非効率性から私有化や資本所得課税を考えようとしている。公的部門と私的部門の差異を生産の非効率性にもとめつつ,政府の財政再建の必要性を組み入れたモデルを構築する方向で現在にいたっている。 後者については,前者の理論的分析のみならず,現実の公的部門の私有化の状況について国際比較を行う一環として,研究分担者がニュージーランド国立図書館およびオークランド大学図書館において,資料収集を行った。特に,昨今の日本における郵政民営化との関連から,ニュージーランド郵便(NZ Post)に関する基本的データと,新聞記事を含む民営化の効果に関する諸資料の収集を行った。これらの資料に基づいて,ニュージーランド郵便の民営化の前と後のさまざまなパフォーマンスについてまとめる作業を現在も進行中である。
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