研究概要 |
今年度は研究計画最終年度であるため,これまでの3年間におこなってきた研究代表者および研究分担者・研究協力者による研究の成果を,研究成果報告書の形でまとめた。 そもそも本研究の目的は、国が運営してきた事業について国営化や民営化を実施するときに現れうる有効性および問題点について,実証的側面ならびに理論的側面から明らかにすることである。そのため,果たされるべき研究の方向としては,1つは現実的側面からの分析(実証的側面)と,もう1つは理論的側面からの分析の2つに大きく分けられる。 研究成果報告書の章立てに触れつつ,本研究の概観を行う。まず,前者の実証的側面からの研究としては,研究代表者(竹内)による第1章「民営化の功罪」,研究分担者(森田)による第2章「イギリスにおける民営化の現状とその考察」,および研究分担者(柳原)による第3章「ニュージーランドのマクロ経済環境と郵便事業の国営化」が,民営化におけるさまざまな議論を整理しつつ,その問題点について指摘している。また,研究分担者(森田)および研究協力者(佐野)による第4章「財政再建策がもたらす影響に関する定量的分析」および研究代表者(竹内)による第7章「地方自治体の歳出格差と税源移譲」においては,政府の活動を広くとらえたうえで,現在の中央・地方政府における財政上・マクロ経済環境上の諸問題について触れつつ,今後の民営化を考える際で注意を喚起している。 次に、後者の理論的側面からの研究としては、研究協力者(加藤)による第5章「民営化と政府の選好」ならびに研究分担者(柳原)による第6章「資本蓄積,資本減耗率と民営化の成否」があげられる。これらはいずれも上記の実証的側面からの研究を補完する形でなされたもので,民営化の影響について理論的な整理を試みたものである。
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