研究概要 |
本年度は、「三位一体の改革」の経済学的評価、交付税を含む税源移譲効果の測定、および地方支出効率化の観点からPFIに関する3つの研究を行い、それぞれを以下のように公表した。 まず、第1の研究は、国庫支出金削減と税源移譲が地方公共団体の効用に与える効果を計量的に分析したもので、この研究は、2004年度の日本地方財政学会第11回大会(2004年5月22日,於滋賀大学経済学部)で「『三位一体の改革』の経済学的評価」として報告した(共同論文)。 主たる結論は、非義務的経費に関して80%相当額を税源移譲する場合にも、地方公共団体の効用は税源移譲前より高いという点である。第2の研究は、「三位一体の改革」の結果生じると考えられる税源移譲効果をシミュレーションにより測定したもので、「三位一体改革の促進に向けて」なる提言として纏め公表した(共同研究)。財団法人関西社会経済研究所のホームページに提言が掲載されている。http://www.kiser.or.jp/research/040812_research.html 主たる結論は、削減すべき補助金は奨励的補助金であり、その場合にも地方税への税源移譲を想定すると財源再配分効果がかなり大きいこと、また交付税総額が維持されることを考慮すると、不交付団体を除いては財源再配分効果がかなりの程度打ち消されることを明らかにした。最後の、PFIに関する研究は、今後縮小することが予想される地方歳入を効率的に使用する際の有力な可能性として考えられるPFIに関して、日本における適用可能性等について研究したものである(単著)。PFI実施において、提案審査の方法が重要であり、また地域経済活性化に関しては歳出の効率化と地元企業への発注という点でトレードオフが存在することを指摘した。
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