研究課題
基盤研究(C)
現在わが国で急速に進行している少子高齢化・人口減少は、財政および社会保障制度に深刻な影響を与えている。少子高齢化が進行し、人口が減少し始め、経済成長も鈍化するのに伴って、既存の制度の持続可能性に問題が生じている。本研究の目的は、わが国の財政・社会保障制度をこのようなドラスティックな構造変化に対応させるための具体的な改革案を提示することにある。少子高齢化・人口減少という構造変化を織り込んだ分析を行うために、Auerbach and Kotlikoff(1983)によって開発されたライフサイクル一般均衡モデルによるシミュレーション分析の手法を用いて定量的な分析を行った。分析結果は、大きく次の3つに分けられる。1.租税制度に関しては、所得から支出への課税ベースの移行は資本蓄積を促進し、また支出税に累進構造をもたせることによって、所得再分配を効率的に実施できることが示された。すなわち、累進所得税中心の現行の税制度から、新たな税形態である「累進支出税」への移行が望ましいことが示された。また、現実的な租税政策として、望ましい税の組み合わせについても検討した。その結果、現行制度を前提とした場合、税収中立の下では、消費税を増税し、利子所得税を減税することが最も望ましい税の組み合わせであることが示唆された。2.公的年金制度に関しては、最低保証年金方式よりも現行の基礎年金方式のほうが基本的に望ましいことが示された。また、最も望ましい年金制度のあり方についても検討を行った。その結果、現行の公的年金制度と同規模の年金制度を想定した場合には、公的年金を基礎年金のみに限定し、それを消費税で賄うことが最も望ましいとの結論が得られた。3.国民負担率の水準に関しては、望ましい国民負担率は少子高齢化の進展と共に上昇することが示された。また、少子高齢化のピーク時には最適な国民負担率が50%を超える可能性があることが示唆された。
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