研究概要 |
当該研究期間における研究成果は下記の3本の論文である。平成15年度においては、論文1の加筆・修正ならびにそれに伴う新たな実証研究と、論文2の実証研究を行った。平成16年度においては、論文2の執筆と論文3の研究・執筆を行った。以下に、各論文の表題と抄録を記す。 (論文1)Determining Output and Inflation Variability : Are the Phillips Curve and the Monetary Policy Reaction Function Responsible? 本研究の目的は,インフレ変動や産出変動の決定因を実証的に明らかにすることである。本研究では,25のOECD諸国のデータを用いてクロスカントリー分析を行ない,金融政策反応関数の政策パラメータとインフレ・産出変動との関係,およびフィリップス曲線の傾きとインフレ・産出変動との関係を調べた。 (論文2)Explainlng the Variation in the Costs of Reducing Inflation on the Assumption of Adaptive Expectations.(共著) 期待が適応的に形成されるとき、犠牲率(the sacrifice ratio)は(1)フィリップス曲線の傾き、(2)経済主体がインフレ期待を修正するスピード、および(3)過去に実現した実際のインフレ率によって決定される。本研究では、犠牲率を「期待インフレを1%下げるのに年間実質GDPが何パーセント失われなければならないかを示す数値」と定義することによって、より安定的な犠牲率を得ることができることを示す。本研究では、政策当局がインフレ率変更政策を早期に実施することにより、インフレ率変更費用を引き下げることができることが示される。また、インフレ率低下期には期待インフレの調整スピードが遅いという実証結果から、ディスインフレ政策の費用の方がリフレ政策の費用より大きくなるという示唆が得られる。 (論文3)Episode-Specific Evidence on the Relationship between Inflation and the Output-Inflation Tradeoff.(共著)[投稿準備中]
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