研究概要 |
平成15年度から17年度にわたり以下のような研究作業を行なった。 1.イギリスGuildhall Library所蔵で、現在、マイクロ・フィルムで出版されている『外債保有者協会資料』(Files of the Council of Foreign Bond Folders)を入手し、その分析検討を行なった。資料的には、起債国の政治経済状況等を知り得たが、残念ながら、外債発行の目的、証券発行の条件、発行規模、債務履行の交渉過程、とりわけ、海外証券投資家の実態を示す資料を発掘することはできなかった。しかし、第2次資料であるが、L.E.Davis and R.A.Huttenback, Mammon and the Pursuit of Empire.の検討によって、帝国・外国で活動する企業に対する投資家の多くが、ロンドンおよびその周辺に所在することが確認された。 2.次いで、研究の対象を海外証券投資のグローバル化に絞り、ロンドン証券取引所の上場証券の包括的資料である、『ロンドン証券取引所:公式年鑑』(Burdett's Official Intelligence, Stock Exchange Official Intelligence)とThomas Skinner編集の『ロンドン証券取引所年報』(The Stock Exchange Year Book)を比較検討する作業を行なった。前者の資料は、ロンドン証券取引所に上場されている証券を網羅したものであるのに対し、後者は、イギリスで知られている証券すべてを網羅している点に違いがあることが判明した。このデータとI.Stone, The Global Export of Capital from Great Britain.を比較検討することにより、イギリス海外投資の地理的分布、産業分布、利用された金融手段の分析を行なった。これによって、イギリス海外投資が一方でグローバルに展開されたが、他方で、その投資先や投資対象の産業分布、さらに利用された金融手段がきわめて集中していることが判明した。
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