研究課題/領域番号 |
15530223
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
森 徹 名古屋市立大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60134160)
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研究分担者 |
稲垣 秀夫 四日市大学, 経済学部, 教授 (70159937)
鎌田 繁則 名城大学, 都市情報学部, 教授 (70214509)
赤木 博文 名城大学, 都市情報学部, 助教授 (30254270)
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キーワード | 地方交付税制度 / 水平的地域間財政調整制度 / 地域間財政力格差是正 / インセンティブ / 実験経済学 |
研究概要 |
本年度は、前年度に構想した「地方財政調整基金制度」について、(1)地方自治体間の協議による制度の自主運用が可能であるか否かを実験経済学手法によって検討するとともに、(2)実験結果をもとに、この制度が、現行地方交付税制度と比べて、地域間の財政力格差是正や国の財政負担の面において、より優れた性能を発揮しうるか否かを地方財政データを用いて検討した。基金制度の設計については、昨年度構想したものに改訂を加え、基金から各自治体への交付金は、各自治体から基金への住民1人当拠出金の平均値×当該自治体人口×「1+国の補助率」とし、ま各自治体は、住民1人当一般財源額(地方税留保額+交付金)に着目して、拠出額を決定するものとした。 意思決定実験では、自治体(8つの道州を想定)間の事前協議を認めた場合には基金への拠出率(拠出額/地方税収)はほぼ100%となり、基金制度の自主運営が十分可能なことを示唆する結果が得られた。また、こ実験結果を踏まえて、拠出率が100%とした場合の基金制度と現行交付税制度の性能を比較すると、基金制度は完全な財政力(1人当り一般財源額)格差是正効果を発揮し、かつ国の財政負担を2〜4兆円程度軽減することが明らかとなった。 上記の研究内容は、日本財政学会第61回大会で報告したが、その後、基金に対する国の補助率(上記実験では、拠出金総額の50%と設定)を25%、さらには0%に引き下げた追加実験を行った。実験結果は、国の補助率を引き下げても、自治体間の協議が行われれば、80%強の拠出率が実現し、基金制度は、国の負担を大幅に削減しつつ強力な地域間財政力格差是正効果を持つことを示すものであった。 本研究に関して平成16年度中に公刊された研究成果はないが、財政学会での発表内容をまとめた論文は、学会誌『財政研究』創刊号に投稿中であり、追加実験の結果をまとめた論文も、紀要等に公刊する予定である。
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