本年度の研究目的は「平成15・16年度中に収集した資料・文献・知見を総合的に吟味し、1980年代のアメリカの対日政策が1990年代のクリントン政権に至って何故に180度の逆転を見ることとなったのかを予想・判断する」というものであった。アメリカの経済政策的対日姿勢は、1970年代(フォードおよびカーター政権)の放任(ビナイン・ネグレクト)、80年代(レーガン政権)の「自主規制」要求と為替操作による強硬、90年代(クリントン政権)の現実容認に基づく農産物(とりわけ牛肉とオレンジ)輸出圧力というようにほぼ10年ごとに変化を見せたが、そこには、政策という人為ではけっして矯正できない客観的経済条件というべきものが常在し、それが政策の改変を執拗に迫ったためである。 日本は第一次大戦期から昭和初期までと、昭和6年12月から敗戦までとの2つの時期において変動相場制下にあったが、急変・乱高下する為替相場が当時の政策担当者にどの様に関知され、また、一般の人々の生活にどう影響したかについては新聞を初めとする当時の様々な文献が明示している。 本最終年は上記の目的を達成するため、文献収集、関係者への聞き取り等を引き続き行なうとともに、これまでの資料等の分析に基づいて歴史と理論の両面から為替相場変動と為替システムの実相と本質を探り、研究成果の作成に努力した。
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