研究の出発点として、ベンチャー投資活動自体を、<ベンチャー企業(VB)とベンチャーキャピタル(VC)>、<ベンチャーキャピタル(VC)と(金融機関を含む)最終的投資家>という二重のプリンシパル-エージェント関係の枠組みで捉え直し、VBとVCの関係について金融契約の理論のサーベイを行った。VCと投資家については、我が国における投資慣行や投資規約を調査・考察した。そして前者に関しては、段階的資本投入のファイナンス継続に対する役割と、コントロール権の移転・配分の初期投資のファイナンス成立に対する役割に注目し、我が国では一般にフォーマルな契約が行われない(少なくともコントロール権の移転や配分を含むような契約はほとんど結ばれない)ことを補完する別のインセンティブ構造が、後者の報酬体系に求められるという認識のもとに調査を企画した。 アンケートに先立つ予備調査によって、ベンチャー企業への投資活動とファンドの運営活動との間のインセンティブ構造が、系列別(証券系、大手銀行系、地銀系、生損保系、独立系、など)に異なっていることが既に明らかになっている。今回のアンケート調査では、これらの点を踏まえた調査票を作成した。調査対象は、VECが保有する最新のVCのリスト(現在は185社)、「NKKEI NET:ベンチャー」で紹介されたことのある外資を含めた新興VC、「日経ベンチャー企業年鑑2004」に掲載のあるVC、及びベンチャー融資を行う金融機関であり、現在、回収待ちの段階である。
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