本研究は、第二次世界大戦終結から現在に至る時期における日本とアジアとの経済関係を歴史的・総合的に把握することを目的とし、(1)長期経済統計の研究と、(2)日本のアジア政策史の資料的研究との二領域を設定している。 (1)長期経済統計 今年度は、前年度に引き続き、大蔵省(財務省)、日本銀行、通商産業省(経済産業省)、外務省、法務省、日本貿易振興会アジア経済研究所などが公表している経済統計を調査し、整理する作業を行った。具体的には、貿易、対外直接投資、ODA(政府開発援助)、人の移動(出入国)などに関する長期的な統計の作成を進めた。それぞれの項目において、調査方法の変更があるため、その点を調整したうえで一貫した統計を作成しなければならないが、その作業は次年度にまわすこととした。 (2)政策史的研究 主として外務省外交史料館が保有している外務省記録を調査し、必要箇所の複写を行った。今年度は、1950年代後半に岸信介首相が行った東南アジア歴訪関係の文書を重点的に検索し、その検討を進めた。また、戦後賠償からODA(政府開発援助)に至る経済外交の推移にかかわる資料を調査し、その点検作業を行った。なお、韓国との国交樹立に関連する資料の探索も合わせて行ったが、韓国政府が公表した水準の資料は発掘できておらず、次年度にまわさざるをえなかった。
|