平成15年度は、研究実施計画どおり、下記を実施した。 (1)4月-3月、日米企業のリストラクチャリングと雇用に関する先行研究のレビューを実施した。それにより、おおよその動向が明らかとなったが、個々の企業実態は、必ずしも調査研究されていないことが判明した。 (2)4月-3月、1990年以降のリストラクチャリングと雇用の変化に関して、日本企業10社を訪問しインタビュー調査、資料・情報収集を実施した。16年度も継続して調査を実施するため、結論的なことはまだ十分明らかではないが、事業のリストラクチャリングに関しては、従来指摘されてきたような長期指向ではなく、むしろ短期志向が日本企業において見出された。雇用においては、様々な人員削減策や異動策が日本企業に導入されたが、個人の選択が制限されているのが特徴的であった。 (3)8月-9月、1990年以降のリストラクチャリングと雇用の変化に関して、アメリカ企業4社を訪問しインタビュー調査、資料・情報収集を実施した。アメリカ企業に関しても16年度も継続して調査を実施するため、結論的なことはまだ十分明らかではないが、短期志向の事業のリストラクチャリングは、従来通りはっきりと見出された。雇用に関しては、従来からの組合規制(先任権重視)、社内人材公募制などによる個人の選択が用いられ、日本とは対照的であったが、最近では、管理職・ホワイトカラーの解雇が頻繁かつ大規模に行われていることが特徴的であった。 (4)8月-9月、アメリカ・コーネル大学において、リストラクチャリングと雇用の変化に関する資料・文献の収集を行った。また、ハリー・カッツ教授、サロッシュ・クルビラ教授、ローウェル・ターナー教授らに、最近のリストラクチャリングと雇用についてインタビュー、意見交換を行った。その際、同教授らからアメリカ企業の紹介を受け、調査が可能となった。 以上により、16年度の研究課題・研究の方向性がより明確となった。
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