研究課題
基盤研究(C)
本研究は、1970年、1980年、1990年、2000年のわが国企業(非金融業売上高上位1000社)の支配構造と企業業績の関連について分析を行い、両者の関係を解明することを目的としている。1.支配構造の分析は、実質一位株主(利害を共通にしている株主のグループ)が、どの程度株式を所有しているか、という観点から行った。実質一位株主の最上位の類型を、個人株主、事業会社株主、金融会社株主、その他とした。第一に対象企業の実質一位株主の類型と持株割合を明らかにした。第二にこれを分析して、各年次における支配構造の特徴ならびに年次の推移に伴う変化の動向を明らかにした。2.支配構造と企業業績指標の関連の分析のために、一般的に使用されている企業業績指標値を対象会社の財務データから作成した。3.この企業業績指標値と支配構造に関するデータの関係を統計学的な手法で分析した。第一に企業業績指標値に関して実質一位株主の類型の間に有意な差異があるか、統計的な検定を行った。その結果、個人株主の会社は、資本利益率と成長率が有意に高く、事業会社株主の会社は資本付加値率が高いことが分かった。第二に実質一位株主の経営者に対する影響力の大きさを見るために、その株式所有割合と企業業績指標値の回帰分析を行った。その結果、株式所有割合は企業業績指標値に対して、ほとんど影響力を持たないことが分かった。以上を総合すると、実質一位株主はその属性に従って、経営者に対してそれぞれ特有の方向を指示するが、様々な要因の中で行われている企業活動の結果として生じている企業業績指標値の大きさを大きく規定するものではないという結論に到達した。
すべて 2006
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新潟大学経済学年報 第30号
ページ: 31-88
Annual Report of Economics, Niigata University No.30