研究課題/領域番号 |
15530256
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若林 直樹 京都大学, 経済学研究科, 助教授 (80242155)
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研究分担者 |
宮本 光晴 専修大学, 経済学部, 教授 (80138552)
曳野 孝 京都大学, 経済学研究科, 助教授 (50301825)
田尾 雅夫 京都大学, 経済学研究科, 教授 (40094403)
松山 一紀 大阪国際大学, 経営情報学部, 専任講師 (80351691)
久保 克成 早稲田大学, 商学部, 専任講師 (20323892)
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キーワード | エンプロヤビリティ / 人的資源管理 / 組織コミットメント / 成果主義 / 心理的契約 / 労働市場分析 / 雇用流動化 |
研究概要 |
今年度は、日本企業の成果主義的な人事制度改革が、従業員の組織コミットメントに与える影響について、先行研究の研究会に於ける検討を通じて、心理的契約もしくは暗黙の契約についての認識の変化として捉えた方が有効であることがわかった。また電機産業での予備的な事例研究に於いてもぞうした方向であることを確認した。まず雇用流動化の進展に伴い、従業員のエンプロヤビリティへの意識が高まってきているが、現在の企業側の人事制度改革が従業員に対してスキルの持続的変化についての意識革命である「勤勉革命」を求めてきている。こうした意識的変化は雇用契約における終身雇用についての暗黙の契約条件を変更し、短期的で課題限定的な組織コミットメントへの変化を求めてきている。そうした面では、Rousseauらの「心理的契約」の概念やその変動モデルが分析に於いて有効であることが先行研究の検討から明らかになった。従来の組織コミットメントの議論は、価値、感情、帰属意識などの面での個人の組織に対する関わりの強さやその意味を検討しているものの、権利・義務関係の内容やその変化についての検討は重視されていなかった。心理的契約はその面で権利・義務の内容やその変動に踏み込める。太田は組織よりも仕事へのコミットメントの比重移行がおきている変化が現代にあるとしている。そして、そうした心理的契約の面から見ると、予備的な事例研究で調査したいくつかの電機メーカーでは、長期的技能形成よりも短期的成果志向へと心理的契約の変更を目指した人事制度改革を展開していた。そして新しい社内研修制度であるコーポレート・ユニバーシティは、流動化に対応したキャリア政策の一環であり、電機連合という組合の側のキャリア・カウンセリングの政策もそうした心理的契約の変化に対応しようとする労働者側の対応であった。
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