バイオインフォマティクスの概要について把握するとともに、その発展について、バイオテクノロジーや情報技術の歴史とも併せて、文献調査を行うとともに、それと医薬品産業との相互作用の展開についても主に文献により調査した。これらにより、この技術の特性について、歴史的な視点からの理解を深めた。その際、経済的および経営的な視点のみならず、倫理的問題を含め、広く社会科学的な議論をも概観した。 並行して、バイオインフォマティクスの研究及びその社会科学的な意義に関する研究について非常に盛んであるエディンバラ大学を訪問し、そこでの実態を調べるとともに、研究者との情報交換を図った。また、海外のバイオベンチャーや国内製薬企業の研究開発担当の経営者に対しても、非構造的なインタビュー調査を行い、バイオインフォマティクスやバイオテクノロジー産業、医薬品産業の状況に対しての定性的な情報や知識を獲得した。 以上のような情報収集・調査活動により得られた、歴史的な視点と現在の現場からの視点、さらに将来展望に関する議論を重ね合わせることによって、バイオインフォマティクスおよびバイオテクノロジーの展開と、医薬品研究開発および医薬品産業との相互作用について、原初的なレベルではあるが、一定の見地を得ることができた。 現在、従来の研究に一部今回の調査で得られた知見を盛り込んだ論文を国際的な学術雑誌に投稿中である。好意的な審査結果を得ているので、近く掲載が決まる見込みである。 次年度は、詳しい実態調査を重ね、バイオインフォマティクス時代の医薬品研究開発の状況をさらに明らかにしていきたい。
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