研究課題
基盤研究(C)
我々は、クラスター形成初期過程における産学連携を分析する上で有効となる新たなフレームワークの構築とその支援および評価における政策的課題を明らかにするために、バイオ産業におけるクラスター形成の初期段階に注目した研究を実施した。国内においては、香川県における希少糖バイオクラスターを中心とした事例研究を、また、海外では、米国および欧州におけるバイオ産業クラスターの事例研究を行った。これらの研究の結果から、我々は、クラスターの成長軸には、社会性(公共性)と経済性(事業化)の2側面が存在し、それらの成長軸にあった支援や評価のあり方が望ましいことを指摘した。また、大学所属研究者のアカデミック・アントレプレナーシップについても、既存の研究で指摘されてきた事業創造(大学発ベンチャー)の側面だけでなく、研究基盤となるインフラストラクチャの構築の側面での役割の重要性についても指摘した。国内における形成初期段階のクラスターは、研究とビジネスの間のリンケージや地域に根ざすこととグローバルな競争優位を構築することの両立の困難さに直面し、産学官の主体間でのドメインのギャップに直面しながらも、それらの困難を乗り越えようとしている。特に、アカデミック、ビジネスの関心にくわえ、地域という第3の軸が加わることにより、クラスターの中核となっている大学側研究者が非常に複雑で拡大された役割に直面している。そうした中でアカデミック・アントレプレナーはそうした中で活動しているのである。海外事例との比較においては、国内では、支援のための各種組織の機能が分断されていて弱いこと、研究とビジネスの境界が高くそのリンケージをはかることのできる人材が不足し、また海外に比べてその育成機能も弱いことが明らかになった。以上が、本研究の成果である。
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香川大学経済研究所 Working paper 100
ページ: 27
2005年度組織学会研究発表大会・学会報告要旨集
ページ: 4
香川大学経済研究所 Working paper 103
ページ: 22
Working Paper#100, The institute of economic research, Kagawa University
Proceedings for the conference of Japan association of organizational science
Working Paper#103, The institute of economic research, Kagawa University
ページ: 17
Journal of Management Development Vol.23 No.4
ページ: 289-320