研究課題
2001年、確定拠出年金法が施行され、わが国でも初めて確定拠出年金制度(日本版401(k)制度)が導入された。本研究は、日本企業による確定拠出年金制度導入のインセンティブについて実証的に分析したものである。ここで取り上げた説明変数は、1)従業員数(企業規模)、2)従業員1人当たり年金資産額、3)退職金債務に対する積立不足の割合、4)負債比率(総負債/総資産)、5)総資産経常利益率、6)平均賃金、7)労働組合組織率(産業別)、8)従業員平均年齢、9)産業別転職率である。これらの変数を使って、確定拠出年金制度の導入を推定するためロジット分析を行っている。主要な分析結果は、企業規模が大きいほど、利益率が高いほど、1人当たり年金資産額が多いほど、そして負債比率が高いほど、確定拠出年金制度を採用している企業が多い。さらに、平均年齢が高く、積立不足率が高い企業ほど、確定拠出年金制度の導入が遅れていることが明らかとなった。本研究の分析結果は、アメリカの確定拠出年金とは対照的に、わが国では業績の良い大企業が従来の確定給付年金(厚生年金基金制度や税制適格年金制度)に多くの積立てを行っており、こうした企業が確定拠出年金制度を導入していることを示している。
すべて 2005
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Proceedings of 4th Global Conference on Business & Economics, Oxford University, UK.
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