研究課題/領域番号 |
15530270
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
秋野 晶二 立教大学, 経済学部, 助教授 (50202536)
|
研究分担者 |
林 倬史 立教大学, 経済学部, 教授 (50156444)
|
キーワード | セル生産方式 / EMS / グローバル・ネットワーク型生産 / マスカスタマイゼーション / 非統合型ビジネスモデル / 機能別分業 / 大量生産体制 / 研究開発拠点の国際化 |
研究概要 |
90年代において、ライフサイクルの短縮化と製品の多様化による生産の質的・量的変動の拡大を背景にセル生産方式の普及とEMSの台頭が見られるようになってきた。 (1)セル生産方式は、グループテクノロジーによるセル(GT)ラインにその原型が見られ、最終組立工程を中心に生産量と品種の変動に対応できるシステムであり、少品種大量生産を多品種少量生産の方向へと推し進めた。その結果、セル生産によって最終組立工程は製品に対して量・質両面で汎用性が高めることとなった。 (2)EMSは、試作品など小口生産あるいは下請け的存在であった受託製造業者を起源とし、その後、エレクトロニクス生産における実装技術の進歩に伴い汎用化した実装工程を基礎として多様な製品の受託製造を行い、最終製品組立や部品調達、さらに製造サービスを広げ、製造機能を統合しながら、グローバルに展開している。 (3)社会的分業の観点から、セル生産方式は製品別事業部から製造機能を切り離していく傾向、またEMSにおける最終工程への活用という実態を見れば、EMSの非統合型ビジネスモデルに包摂されているといえる。ここで、「非統合」というのは、垂直的分業と水平的分業を伴う機能別分業、すなわち、設計機能、販売機能、製造機能間の分業をさす。 (4)このような分業が可能となる基礎は、部品の標準化、グループ化、モジュール化によって、生産システムが汎用化し、製品構造と生産システムとが相対的に分離してきている点にある。また製品設計でモジュール化が進行し、カスタム化の段階を最小化しつつ遅らせることで、全工程の汎用化を進めるという、マスカスタマイゼーションがなされている。 (5)このような分業が現実性を持つのは、1970年代以降の企業間競争を背景として、製造技術、設計技術の蓄積、標準化の進行を伴いながら、生産拠点、販売拠点、さらには研究開発・製品開発拠点のグローバル化が進行していった。これらが製造工程を切り離し、製造機能において集中化をもたらして、グローバル・ネットワーク型の多品種大量生産を実現する現実的基盤となっている。
|