完成年次に当り、当初の民間企業から3名の研究協力者(内1名は拓殖大学客員教授)に加えさらに1名を得て、研究を進めた。 実践可能なトータルリスク管理策を検討し明示することを目的に、研究協力者である損害保険会社の現役管理職や総合商社のリスク管理担当管理職との議論を通じて問題点を明確にし、かつ、解決策を探った。 引き続き、1ヶ月に最低1度はミーティングを行い、意見の調整を行い、同時に、分担個所の執筆原稿を通しても意見交換を行った。 企業経営の最大のリスクを「自社の存続」と定義し、そのための基本条件は企業理念の確立とコーポレート・ガバナンス体制の整備であるとの結論を得た。その上で、経営に係るリスク管理を「経営体制リスク管理」と「執行リスク管理」に分類し、それぞれの最適管理策を検討した。まず、非期待損失の最大値を企業の必要株主資本額(エコノミック・キャピタル)と定義し、エコノミック・キャピタルを算定する具体的かつ実行可能な手法を検討した。 また、ニューヨークでの実地調査を踏まえ、COSOの内部統制とERMについても検討を行い、これらを含めたトータルリスク管理の研究を進めることで合意し、おおよそのコンセンサスが出来上がり、10月にはこのコンセンサスに基づいた、報告書のベースとなる骨子が完成した。 その後、最後の意見交換を継続し、平成17年に入り、完成をみた。
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