民間企業から3名の研究協力者(内1名は拓殖大学客員教授)を得て、研究を進め報告書を完成させた。 目的は実践可能なトータルリスク管理策を検討し明示することにある。研究協力者である損害保険会社の現役管理職や総合商社のリスク管理担当管理職との議論を通じて問題点を明確にし、かつ、解決策を探った。 内容としては、リスクとリスク管理の定義を行い、企業が対処すべきリスクを明らかにし、それへの対処策を考えている。 企業経営の最大のリスクは「自社の存続」に係るリスクであるが、そのための基本条件は企業理念の確立とコーポレート・ガバナンス体制の整備である。これらの諸点を「経営体制リスク」と定義し研究した。 次は、執行リスク管理であり、まず、非期待損失の最大値を企業の必要株主資本額(エコノミック・キャピタル)と定義し、エコノミック・キャピタルを算定する具体的かつ実行可能な手法を2つ示した。 その上で、個別リスクの個別かつ統合管理を研究した。基本的には、いかにリスクを発見するか、および、そのリスクをいかに管理するか、という点である。 また、リスク管理の中には企業内における内部統制が当然含まれることから、米国COSO発表の「内部統制の枠組み」、「企業リスク管理(ERM)-枠組み」の検討とその導入についても研究を行った。 また、企業のリスク管理の現状を調査する必要があり、上場企業にアンケート調査を行った。その結果も報告書に含めたが、基本的には、リスク管理体制の整備は遅れており、これから、という段階であった。
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