研究課題
基盤研究(C)
(1)米国の複占市場における低費用航空会社の参入効果の持続性を計測した実証論文では、サウスウエスト航空の新規参入により、一時的に市場が拡張して輸送量と運賃が上昇するが、やがて安定期には低費用航空会社のライバルの運賃は低下することが確認された。そして、とりわけ、同一空港での競争の場合は輸送量は不変または微増することが確認された。低費用航空会社によるセカンダリ空港からの間接的競争の場合は、ライバルの運賃は低下するとともに輸送量減少することが確認された。またサウスウエスト以外の航空会社の場合は、一時的にライバルの運賃は低下するものの、比較的早い時期に運賃水準と輸送量が修復されることが判明した。(2)米国の3社寡占市場について低費用航空会社の参入効果を計測した実証論文では、3社の場合についても、やはり2つのライバル航空会社は低運賃競争に巻き込まれ、特に同一空港間競争で運賃低下の程度が大きいことが確認された。ライバルの輸送量に関してはやや微増する傾向が確認された。従って、低費用航空会社の新規参入により、経済厚生水準は一貫して改善される可能性が高いという示唆を得た。また、同種の企業が操業する(シンメトリーな)市場よりも、企業のタイプにバラツキがあるような(エーシンメトリーな)市場のほうが、運賃水準が低くなり、輸送量が多い傾向があることも確認された。(3)日本の航空市場では、運賃競争ではなく、サービスの競争が行われている。運賃に関しては、限界費用よりも運賃が十分に高い路線が東京〜九州方面および東京〜北海道方面に確認された。一方で新幹線との運賃競争は存在している。従って、日本の遠距離都市間輸送では、同一モード内というよりも、モード間競争の方が、消費者の利益に直結しているといえる。また航空路線間では内部補助が存在していると確認された。
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国民経済雑誌 191-4
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The Journal of Economics and Business Administration Vol.191, No.4
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The Journal of Economics and Business Administration Vol.188, No.4