「保険顧客の需要を喚起・認識させ、その需要に合致した適切な保険商品を保険顧客が選択することを促すという役割を期待される募集行為の本質は、保険商品をめぐる情報を提供し、それについて保険顧客の理解を得て、その後、契約締結にいたらしめることに他ならない」という認識の下、平成16年度日本保険学会大会(10月23日、上智大学)の「シンポジウム」において、保険募集行為規制の沿革をたどり、特に、保険募集人の禁止行為を規定した保険業法300条のうち、情報提供に係るものとして、「重要事項の説明」、「不正転換・乗換」、「予想配当」を検討した。 結論として、保険募集行為の2重構造性を認識すべきであると述べた。すなわち、1つは「全社共通部分」で、保険のニーズを喚起し、それを質的(保険種類)、量的(保険金額、保険料の大きさ)に明確にさせるプロセスである。これは特定会社の特定商品の購入に直接結びつくものではないが、それは募集行為の今1つの構成要素である、「自社商品販売促進部分」にとり不可欠の前提となっている。これは、保険という、その需要が間接的である商品を扱う「業界共通のコスト」として積極的に負担する必要がある。個別会社にとり一見迂遠に思える「保険リテラシー」を充実させ、「情報を十分得た上での保険購入あるいは保険の乗換」を図ることが、結局は、喫緊の課題である「失効・解約の増大」といった問題解決にも資すると主張した。
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