研究課題/領域番号 |
15530292
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
太田 一樹 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (10278880)
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研究分担者 |
王 怡人 広島大学, 経済学部, 助教授 (20290538)
細井 謙一 広島経済大学, 経済学部, 助教授 (30279054)
御園 謙吉 阪南大学, 経営情報学部, 教授 (90310581)
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キーワード | マーケティング / 生産性 / 競争力概念 / 営業サービス / 顧客満足度 / 営業ネットワーク |
研究概要 |
15年度は翌年度以降の実証研究に備えて理論研究を主に行った。 実務の世界でよく用いられている営業部門の生産性を測る尺度としては、営業要員一人あたりの平均売上高(「部門全体の売上/営業マン数」)がある。しかし、この尺度は、営業要員一人あたりの平均売上高が算出されるだけであり、営業部門全体として売上を拡大するには、営業要員の数を増やさなければならないという、いわゆる人海戦術が適切だということにつながりかねない。したがって、この尺度は適切ではない。それは、従来、多くの日本企業がとってきた人海戦術が有効に機能していないことからも明らかである。その反省もあり、ここ数年、営業部門の業務改革の必要性が叫ばれているのである。 そこで、我々は、営業部門の生産性を測定するためには、営業部門の活動内容にまで踏み込んだ尺度を開発すべきだと考えており、次の3点に重点をおいて、今年度は理論研究を行った。 第1に、営業業務についての再検討である。営業は顧客の発見のみならず、取引の交渉、それを円滑に進捗するための企画提案、情報収集、社内における交渉、売上ノルマ達成と多くの機能・役割を担当している。それらの業務の中で競争力に直結する活動要因を探究した。 第2に、競争力概念の再検討である。競争力は、単に売上の規模でも利益額の大きさでもない。むしろ、長期的に安定して相対的なハイパフォーマンスを実現する能力と考えたほうがよい。しかし、競争力を表現する測定尺度はあまり多くない。そこで、特に、営業競争力を測定する競争力概念を定式化する研究をおこなった。 第3に、営業の産出物を考察した。営業の産出物は、営業サービスであるが、それを測定することは困難である。したがって、それを概念構成物として再定義する必要がある。営業機能からのアプローチとネットワークからのアプローチを理論的な候補として研究した。前者の場合は顧客満足提供機能、後者の場合は営業ネットワーク・ハブの開拓技術として測定できる見通しがたった。 これらの成果を踏まえて、来年度は実証研究を進めて行く予定である。
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