論文の構想に関して、学会、研究会の場で意見交換を行い、分析対象とするデータの客観性に関する指摘を受けた。このため、監査役個人の見解を集計するのではなく、新株予約権を無償で発行する理由に関する登録内容を調査し、分析対象とするように改善した。 新株予約権制度創設直後の2ヶ月間と翌年の同じ2ヶ月間に取締役会で決議された事例を対象とし、TDnetデータベースサービスを利用して、監査役に新株予約権が付与されている理由を調査し、分類・集計作業を行った。監査役に対する付与理由を他の役員と区別して示している企業はむしろ少数派であり、この点でも、商法の立法趣旨と実務上の位置づけとの間の齟齬が生じていることが明らかになった。 新株予約権の価値を測定する上で問題となる株式の保有期間に関連して、役員が株式を譲渡することなく持ち続けることが慣習として成立しているか否かを確認するため、まず、倒産企業における役員の持ち株数の推移を調査した。役員は在職中、保有している自社の株式を譲渡しない傾向が見られた。 以上の研究成果を、国際研究集会の場で発表するため、投稿した。
|