会計ビッグバンの到来により、形式より実質をといわれる経済的実態把握が要求される会計へと進展している現在、金融商品取引も部分的時価評価から全面的時価評価への理論的展開が見られる。金融商品の時価評価・保証手続の理論的検討を通して、取得原価主義会計と時価評価会計との融合型としての会計システムの論理整合性、矛盾点を整理し、統合会計システムとしての構築可能性を模索し、それが可能としたときの監査可能性を検討している。連結主・個別従の会計制度の中で、部分的時価評価における監査可能性は、監査計画、監査実施、監査報告の各段階における要点を明らかにし、全面的時価評価へ移行したとき、監査プロセス全般にわたって注意を要する論点整理を行い、リスク・アプローチにより、金融商品の見積もり公正価値算出プロセスにより、公正価値には一定の許容幅があること、見積もり時価情報の合理性に関する監査手続により入手する監査証拠は説得的監査証拠になることなどの知見を得、監査判断の確立へと接近している。
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