研究課題
基盤研究(C)
コーポレート・ガバナンスは様々な角度から検討されてきている。それは会計と深く接点をもつ。その第1は、ディスクロージャーとの関連で利害関係者への有用な会計情報の提供面である。第2は、会社財産の管理運用を任されている経営者としての経営者に対する財産管理の結果及びその運用状況の監視面である。前者の会計情報面に関していえば、財産目録は貸借対照表とは異なり、それ独自の機能を有する。具体的には財産目録の財産数量計算は、特に不動産や棚卸資産などの企業の重要な資産項目に関して投資家の投資意思決定に対して有用な会計情報を提供するからである。また、財産目録の財産金額計算もまた重要な役割を果たす。というのは、財産目録は一方で貸借対照表の要約的な表示の明細表であるだけでなく、さらに貸借対照表に示されている各項目の金額とは異なる様々な評価額も示すことができるからである。その意味で、財産目録はストック情報として唯一公表されている貸借対照表を補完し、ストック情報を強化・拡充するという、きわめて重要な意義を有するのである。これに対して、後者の監視機能面に関してもまた財産目録はいかんなく威力を発揮する。その財産数量計算面では、財産の実地棚卸を通じて財産の実在性を確認できるので、それを通じて各財産の管理者に対する管理責任を問えるのである。これにより企業内部者による財産の隠匿や横領といった事件の防止に積極的に役立つはずである。また、財産目録の金額計算も同様に資産及び負債の詳細な金額データを分析し、それを合理的に管理すれば、例えば資産・負債の合理的管理(ALM)と同様にように、財産目録を財産管理に対する合理的な手段として積極的に利用することもできるのである。このように考えてくると、会計上重要な役割を果たす財産目録をわが国においても再評価することが不可欠であると解されるのである。この点に財産目録制度化の必要性があると結論づけられるのである。
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