研究課題
基盤研究(C)
理論モデルの構築に関しては,まずもっともよく知られた「囚人のジレンマ」ゲームを応用して、資本市場がレモン市場になる危険を常にはらんでいることを示した。また繰り返しゲームの概念を応用して、企業のゴーイング・コンサーンと会計の情報開示の問題点についても考察を加えた。次にシグナリング・ゲームを応用して、経営者の監査の購買が、資本市場のレモン市場化を防ぐことができることを示した。また取得原価主義会計や低監査報酬が、監査のシグナリング機能の阻害要因になることも指摘した。さらにこれらのモデルを基に、実際の市場を実験的に再現して監査の経済的役割を検証した。その結果経営者による監査の購買が、粉飾決算の防止と投資家の投資意欲を引き出すことに効果があることが示された。最後に前の実験とほぼ同様の設定で、経営者が監査を購買するコストが異なる市場を追加して実験的検証を行った。監査の購買コストの相違が、経営者の粉飾決算の防止と投資家の投資の誘引に及ぼす影響を探った。理論モデルの予想に反して、監査の購買コストの大きな市場では小さな市場より、経営者は努力を選択せずに監査を買って投資家に騙まし討ちをかける行為が多くなった。その結果投資家も守りに入り投資の選択は減少し、両者の獲得報酬も減少してしまった。これは、監査のコストが高くなると、監査の信頼性を利用して経営が努力自体を回避してしまう行動をとったと解釈できる。経営者は、努力と監査のコストの合計をシグナリングのコストと考えてしまい、直接観察できる監査の購買にはコストをかけるが、観察できない肝心の努力のコストを節約した可能性がある。
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