研究課題
基盤研究(C)
管理会計は意思決定会計と業績評価会計を一つの体系として説明することができて初めてその生成を確認できると考えられる。しかし、その一翼を担ったとされるデュポン火薬会社においても、その会計機能は十分には解明されていない。従来、管理会計の生成についての研究は、実際の企業のなかで展開された会計実践によってではなく、欧米の研究者による著作によって、つまり二次資料によって、あるいは管理会計論史として認識されてきた傾向にある。そこで、本研究では、20世紀初頭のデュポン火薬会社において、投資利益率を軸とした会計情報に基づいて経営管理が実施されていたことをできる限り一次資料を用いて考察し、現代的な形態をもった管理会計が同社で生成したことを検証しようとした。その結果、20世紀初頭のデュポン火薬会社で展開された管理会計においては、投資利益率を軸として、意思決定会計と業績評価会計が連動して体系的に機能していたことが確認された。意思決定活動として、投資利益率を軸とした割当予算が作成・利用されたが、割当予算を申請する側-現場の部門等-は、割当予算が承認された場合の経費の見積節約額を提示し、割当予算を承認する側-経営執行委員会等-は投資利益率に基づいて申請の妥当性を検討した。そして、高性能爆薬部門では、割当予算を大枠として製品別・等級別の営業予算が作成され、予算統制が実施された。また、同部門においては、F.W.Taylorの科学的管理法が導入され、標準原価に基づく原価管理が行われた。つまり、20世紀初頭のデュポン火薬会社においては、Top Managementによって割当予算が作成され、その枠内で、Middle Managementによる予算管理とLower Managementによる原価管理が行われていたことが、当時の一次資料によって検証され、同社の管理会計はTop Management→Middle Management→Lower Managementというように、「上から下へ」生成したことが確認された。
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税経通信(税務経理協会) 60巻・3号
ページ: 179-185
Zeikeitsushin Vol.6O, No.3
會計(森山書店) 165巻・5号
ページ: 111-112
Accounting Vol.165, No.5
ページ: 111-122