町野高等学校在校生に対する進路選択行動と社会意識・生活意識調査を実施し、これを1992年の調査および2002年度全国調査のデータと比較した。そこから、生徒の学校との関係性の改善、生徒の自己確信性の高まりが確認された。また、全国データの平均に対して、町野高校生徒の学校外での生活行動や意識は若干異なるが、学校適応、職業意識は有意な差異が見られないことがわかった。 石川県輪島市および松任市住民を対象として、高等学校の教育制度改革に関する意識調査を実施した。輪島市では計画標本数400(20〜75歳)を無作為抽出し、郵送法によって配票・回収を行った(有効回収数237、有効回収率は59.3%)。データ分析の結果、以下のことが明らかとなった。(1)教育機会の格差の認知に大きな地域差が見られ、「感じる」とする者が、輪島市で23.7ポイントも多くなっていること、(2)地域に同等レベルの進学校があることを希望する度合いに地域差があり、「たいへん重要だ」とする者が輪島市で10ポイント多くなっていること、(3)一方、「特別な財政負担をしてでも、学校の統廃合をしなくて済むようにすべきだ」という意見への賛否については、「強い反対層」が輪島市において若干多いことがわかった。 研究対象高校入学者の出身中学比率、および高等学校卒業後の進路について、約30年の統計を分析し、(1)対象高校が当該地域コミュニティの出身者を十分にひきつけることが出来ず、地域高校としてのプレゼンスを示すことが出来なかったこと、(2)いわゆる進学校ではない町野高校でも、1990年代以降、卒業後の高等教育進学率が上昇しており(成熟学歴社会の実現)、石川県の高校設置政策は、若年層の地域からの人口流出をコントロールできていないことを明らかにした。
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