最終年度にあたる平成18年度では、米国における家族コミュニケーションに関する社会学的研究を中心にして既存文献を読み込んで検討しながら、その知見や仮説を整理したうえで、その研究のパースペクティヴや研究方法を検討している。なお、この研究成果の一部は、日本家族社会学会の学会誌である『家族社会学研究』(第18巻・第1号)の「研究動向」に掲載されている。そこでは、家族コミュニケーション研究の原点を明らかにして、その後の研究成果を活かしたテキストの内容を紹介し、おもに米国の社会学者や心理学者によって発表された研究書に焦点をあてながら、多様なパースペクティヴの特徴、家族発達段階別に分けられることの多い研究対象、ならびにそこから得られた知見の一端を示している。 また、生活空間、生活時間、メディアが家族コミュニケーションにあたえる影響に関する実証的調査としては、高齢者を主な対象者として、名古屋市とその周辺都市でおこなった面接調査のデータも整理してまとめている。具体的には、生活空間としての家屋構造が家族コミュニケーションに与える影響、高齢者の生活時間とメディア接触(インターネット)との関連、そして高齢者を中心とした三世代同居家族のコミュニケーションの状況について、面接調査の結果を整理してまとめている。 以上に基づいて、最終の研究成果報告書を作成している。
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