今年度は、昨年のインタビューによる質的調査を繰り返し行うことで、共通する要因抽出を行った。対象は、札幌市、前橋市、千葉市、東京都、大阪府、広島市、博多市から抽出した計14名であるが、結果、10名については期間ごとに計3回、残り4名については2回のインタビュー実施となった。インタビュー調査を実施する際には、会話内容はテープレコーダーに録音すること等、本人から同意書を得て行った。 結果、Burnoutスケールによる評価では、その時々の状況や状態に応じて変化した。しかし、初回の面接からBurnoutにある人は、総じて改善されない傾向を示した。インタビユー内容を会話分析手法に準じて検討した結果、本来的な看護業務として位置尽く「患者との関わり」が、多忙により質・量ともに減少することは、情緒的消耗感への影響があることが指摘できた。 しかし、看護の仕事と介護業務との混在は、看護師の職業意識低下を誘因する要素の一つになると考えられた。看護業務には、日常生活行動への援助と診療の補助業務があるが、その業務における配分(バランス)に対し、個々の看護師は個々の意味づけを行っており、そのギャップが情緒的消耗感や達成感の衰退へ影響を及ぼしていることが予測できた。また、本研究の主たる課題である養成課程の違い(学歴)は、看護師個々への影響要因として、少なからず認めることができた。キャリア・アップや諦め等、個々の状態に応じて、学歴アップへの志向に違いがあった。最後に、看護師としてマルチ機能を意図する配置転換は、個々のプロフェッショナル志向と逆行し、専門性構築の障害因子と位置尽くようで、職業意識つまり職業的社会化にはネガティブに影響することがわかった。 本研究結果は報告書としてまとめた。また一部は、関係学会において発表した。
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