1.平成15年度は、研究実施計画で触れておいた(A)<《分析技法の析出》関係>、(B)<質的分析支援パソコンソフト>関係、(C)<質的分析に関連した理論的検討>関係の関連文献のうち、(A)と(C)登中心にした文献収集/整理/検討作業に取りかかることにした((B)については次年度以降に始めることに変更)。 2.(A1):'Qualitative analysis'(質的分析)論関連の文献群の収集;とりわけ90年代以降活発な研究業績が蓄積されつつある'質的調査研究'(qualitative research)の分野を俯瞰しながら、例えばP.AtkinsonらのKey Themes in Qualitative Research(2003)などに掲載されている関連文献の収集を開始している。 (A2):'comparative historical analysis'(比較歴史分析)論関連文献の収集/目通し;J.Mahoneyら編のComparative Historical Analysis in the Scocial Siences(2003)を通してのこの研究分野との出会いは今年度の一番の収穫。実質上マクロ社会学分野での質的調査研究の大潮流であるだけに、方法論的議論も盛んなようで、技法開発という本研究の観点からも貴重な示唆をうることができそうである。 3.(C1):批判的リアリズム論関連文献の収集/検討の開始;B.DanermarkらのExplaining Society(2002)などを手がかりにして、研究実施計画で触れていた<質的分析を進めていく際に留意すべき主題群について検討する>という作業課題のうちの最初の理論潮流である'Critical Realism'(批判的リアリズム論)の分野の文献類の収集を行なっている。筆者がとりわけ注目しているのは、M.Archerの理論的業績である。 (C2):C.S.Peirceの'abduction'(仮説発想)論関連文献の収集/検討の開始;分析技法の根拠づけの議論の関連で以前から注目していた'abduction'論についての議論の意義を見極めるための作業を始めつつある。
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