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2003 年度 実績報告書

非営利協同セクターによる、市場と社会関係の再構築に関する実証的研究と中範囲理論の形成

研究課題

研究課題/領域番号 15530350
研究機関都留文科大学

研究代表者

田中 夏子  都留文科大学, 文学部, 教授 (30257505)

キーワード社会的協同組合 / 市場の再構築 / イタリア / スローワーク / 協同労働 / 適応と介入 / 相互作用
研究概要

二年にわたる研究計画のうち、初年度である本年度の課題は、非営利セクターと他のセクターとの相互作用をめぐる海外研究成果の収集と、事例調査の実施の二つであり、方法論としてはこれを日本の現実とも照らし合わせながら考察することが求められていた。
前者については、フィールドワークの対象地域であるイタリアの文献や報告書を中心に分析を行った。また事例調査については、ローマ市、ミラノ市、パヴィア市における社会的協同組合やその関連団体からヒアリングを行い、調査報告書の作成と仮説を提示した研究論文を執筆した。
成果として特記すべきは、イタリアにおいては、単位協同組合もさることながら、協同組合のネットワーク組織である事業連合において、市場に対する積極的な関わり合いが形成されている点である。その形成は二つのベクトルによって支えられている。一つは、市場に対する、ある意味での「適応」であり、今ひとつは、市場に対して新しい価値観や仕組みを投げかけようとする「介入」の方向性である。一見相反する二つのベクトルを有することによって、社会的協同組合が、市場との緊張ある連携を形成していることが事例等から仮説として導かれた。
また、合併に揺れる日本の中山間地域や、社会的排除の一例としての「ひきこもり」などを通じて、我が国における地域おこしや仕事おこしの課題についても取材を重ねた結果、一般的には社会的弱者とされる「高齢者」や「若年層」において、あらたな「仕事への回路」づくりが積極的に取り組まれていることが明確となった。これについては、田中を含む二名の共著によって、単行本『現場発スローな働き方と出会う』(岩波書店)を発刊した。
イタリアにおいては協同運動の背景とその制度化過程および制度化による各主体の変容を重点に展開し、日本においては協同運動の芽生えと制度化にむけた課題を示し得たのが本年度の研究成果である。(790字)

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 田中夏子: "イタリア社会的協同組合の形成過程と現況、課題-市場の再構築の担い手となる協同側の取り組みとは-"協同の発見(協同組合総合研究所). 139. 5-24 (2004)

  • [文献書誌] 田中夏子: "担いながら創る、創りながら変える-「協同労働」を通じた「人間らしい働き方・暮らし方」の創造を-"協同の発見(協同組合総合研究所). 138. 23-32 (2004)

  • [文献書誌] 田中夏子: "ソーシャル・キャピタル論から見たイタリアの非営利・協同事業組織研究の意味"小林甫教授退官祈念論集(北海道大学文学部編). 99-107 (2004)

  • [文献書誌] 田中夏子, 杉村和美: "現場発スローな働き方と出会う"岩波書店. 227 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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