本研究は、世界各国の移動体通信とインターネットの普及とその社会的影響を研究することを目的としている。初年度は、北米・南米・ヨーロッパ・オーストラリア・インド・アジア太平洋における資料を収集し分析した。次年度は、初年度入手した資料を分析しつつ、カナダ、中国、香港、マカオ、モンゴル、北朝鮮、韓国、台湾、ブルネイ、カンボジア、東ティモール、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルジブ、ネパール、パキスタン、スリランカなどの国々における移動体通信とインターネットの普及状況に関する新しい資料を収集し分析した。インターネットと移動体通信のマーケットは国境を越えて拡大している。収集した文献・資料の中では、カナダについては総人口の80%以上がインターネットを利用しており、そのためEコマース市場は顕著に拡大している。また、米国では、携帯電話の価格が平均で2003年に1998年の200ドルから147ドルまで下落し普及に拍車がかかっている。現在、携帯電話の機能として世界的に関心を集めているデジカメ機能は西欧でも普及しつつあり、デジカメ付き携帯電話の出荷台数は2002年の262万台から2006年には7003万台に達すると予想されている。それに対してアジア諸国では世界的な経済の低迷を影響うけながらも全般的にモバイル市場が順調に拡大を続けている。特に中国で生産される携帯電話の数は2001年に8350万台であったが2008年には3億7790万に増えると予測されている。また、中国ではPHSは低価格であることが好結果を生みPHS市場が驚異的に成長している。世界的な規模で拡大しつつある移動体通信とインターネットが社会に与える影響を考えるとき、アジア諸国において今後大きな問題が発生すると思われる。
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