本研究は、「臨床社会学」の理論的、実践的な可能性を探求する目的をもつものであるが、本年度は、W.I.トマスとF.ズナニエツキの『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』(1918-20)におけるライフヒストリー論を中心として、第1次シカゴ学派が、どのような理論的構想の基礎をもっていたかを明らかにした。 上記に関する研究実績としては、藤沢三佳1.「社会心理学」、2.「トマス&ズナニエツキ『ヨーロッパとアメリカにおけるポーランド農民』(1918-20)」(中野正大、宝月誠編著『シカゴ学派の社会学』(世界思想社、2003)の二論文を作成した。 さらに、第1次、第2次シカゴ学派のおこなった医療社会学を中心とした臨床分野での調査研究への理論的継承と変化に関して明らかにして、臨床社会学的パースペクティブの現在までの展開を探究した。 上記に関する研究実績としては、藤沢三佳「第二次シカゴ学派へ:A.ストラウスらの「グラウンデッド・セオリー」(中野正大、宝月誠編著『シカゴ学派の社会学』(世界思想社、2003)の1論文を作成した。 また同時に、「臨床社会学」の実践的な可能性を探究するために、上記理論を基礎として、「ひきこもり」者支援関連の医療機関、セルフヘルプグループ、及び「NPO非行少年を克服する親の会」の調査研究をおこない、また「大阪、非行少年を克服する親の会」の形成をおこない、参与観察研究をおこなった。現在は、上記に関する論文をまとめる作業をおこなっている。
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