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2005 年度 実績報告書

A・グラムシ『獄中ノート』の全体的論理構造の基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 15530356
研究機関桃山学院大学

研究代表者

鈴木 富久  桃山学院大学, 社会学部, 教授 (50235975)

キーワードグラムシ / 獄中ノート / 実践の哲学 / 弁証法 / 実際的基準 / 主体 / 階級 / 人間
研究概要

1.グラムシの階級概念を検討した結果、この概念が典型的に「自己包括的」な論理構造を有していることが判明すると同時に、「ヘゲモニー」と「歴史的ブロック」という歴史の運動把握にとってのグラムシの重要概念が、その階級概念の論理構造内に位置づけられることが明らかとなった。それによって、元来自己包括的な概念構造は自己主体化の論理であることに鑑み、グラムシにおいてこの論理構造をとる概念は、基本的に、「人間(個人)」、「階級(社会集団)」および、この2つの主体の理論的表現としてある「実践の哲学」の3概念であるという結論に達し、研究期間の初年度以来探究してきた自己包括型概念の所在探索をひとまず完了しえた。
2.前年度に解明した『獄中ノート』の4大主要テーマを踏まえて、歴史的経験的分析の方法論(歴史方法論)を探究した結果、それがα一般的方法論としての「哲学」、βこの哲学を「歴史と政治の研究と解釈」のための方法論的諸規準に翻訳・変換した「実際的諸基準」、γ「文献学」、の3次元構造をなしていることが明らかになった。そして、そこから『獄中ノート』の体系構造全体の輪郭が浮上した。その輪郭とは、(1)「哲学」、(2)その変換形態としての「実際的諸基準」を含む上記3次元方法論、(3)それによる多様な個別諸事象の経験的諸分析(イタリア知識人史、アメリカニズムとフォード主義、等)、(4)同時に、この経験的分析のなかで定立された各種の多様な「実際的諸基準の体系的展覧」としての分析枠組的社会理論の構成(歴史-階級-知識人の理論、国家の理論、等)、として展開する体系構造をなしているということである。
3.以上のことから、本研究は、課題名に照らしてほぼ満足のいく成果を収めえたものと考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] グラムシの階級概念と主体の論理2006

    • 著者名/発表者名
      鈴木富久
    • 雑誌名

      桃山学院大学社会学論集 第40巻 第2号

      ページ: 29-49

  • [雑誌論文] グラムシ「社会の科学」方法論の構造-哲学と経験科学-(上)2006

    • 著者名/発表者名
      鈴木富久
    • 雑誌名

      桃山学院大学総合研究所紀要 第31巻 第3号

      ページ: 71-84

  • [雑誌論文] 階級・市民社会・日本の労資-グラムシの階級論から-2005

    • 著者名/発表者名
      鈴木富久
    • 雑誌名

      経済科学通信 108号

      ページ: 34-39

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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