本研究の目的は、アジアに位置する発展途上国ベトナムの障害者福祉施策の展開過程において、障害者の権利保障と福祉施策の地域での具体的展開および障害者福祉実践と障害者の地域生活との構造的な関連について、行政資料・関連文献の収集と検討および現地行政機関・団体、障害者当事者組織に対するヒアリング調査、障害者の地域生活についての実態調査を通じて明らかにすることである。併せて「アジア太平洋障害者の新10年」(ESCAP)におけるアジア太平洋諸国とベトナムとの比較研究を行うことにある。 今年度は、第1に日本国内およびベトナムにおいて、研究課題に関連する基礎的資料・文献の収集及びその検討・考察を行い、第2にベトナムの障害者福祉関係機関・団体・組織でのヒアリング調査を行った。国内では、和書洋書の専門書籍・資料の収集、ベトナム諸機関・組織のインターネット・ホームページからの資料入手を適宜行った。ハノイ師範大学障害児教育研究センター、ホーチミン市障害者青年団等での資料の収集を行った。 ヒアリング調査(2004年2月)は、主に、ホーチミン市障害児教育研究センター、ホーチミン師範大学、ハノイ師範大学、ハノイ赤十字社、ホーチミン市障害者青年団、障害者による共同経営企業を訪問し、障害児教育分野を含め障害者福祉の具体的な地域福祉実践、特に当事者活動についての調査に取り組んだ。次年度、本調査への準備段階と位置づけた。 その他に、アジア諸国の障害者問題についての資料収集を行うとともに、タイでのヒアリング調査(拙稿「タイの障害児教育を探る〜チェンマイ・ラジャパット大学および附属学校施設訪問調査」『障害者教育科学』48号)を行った。 以上の内容については、調査記録、資料等を含めて掲載した中間(初年度)報告書として印刷製本を行った。
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