平成16年度は、本研究課題において、特に過疎化高齢化の進行する僻地・離島に暮らす高齢者の地域生活と在宅支援について研究するために、愛媛県越智郡上島町に編入合併した旧魚島村の魚島及び高井神島の2島、そして愛媛県今治市に編入合併した関前村の大下島と小大下島の2島について、それぞれの4島に在住する65歳以上の高齢者、とくに単独世帯と高齢者のみの世帯を対象として、訪問面接調査を実施した。 これらの4島の他地域との交通手段は1日に数便の航路であり、魚島と高井神島は広島県の土生港(因島市)発着航路により本州と結ばれている。また、旧関前村の中心は岡村島であり大下島と小大下島は岡村島を経由して愛媛県の今治港発着の航路で結ばれている。当該地域においては、住民の日常生活を支えているのは航路であるが、さらに旧魚島村では魚島と高井神島との関係、旧関前村では岡村島と大下島・小大下島との関係について、その生活基盤や社会経済的な構造において各島間格差の存在が在宅支援を考えてゆく上で重要な要素になっている。 調査内容は、対象者の家族と家族関係、地域住民間の関係や意識、地域生活意識と評価などを中心にインタビュー方式で実施した。調査結果については現在取りまとめ中であるが、魚島・高井神島の2島では調査対象者数99人、有効回収率が約80%。同様に、大下島・小大下島の2島では71人、約65%、4島全体では170人、約75%の有効結果が得られた。なお、調査対象者が高齢であることから、調査不能理由として入院・病気、長期不在のケースも多く見られ、高齢化地域の現状を反映しているものと考えられた。 4島各島に在住する高齢者の生活実態の把握と考察、今後の在宅支援のあり方を考えてゆく上での住民自身の意識(要望)を把握するための貴重な情報について、今年度の調査研究により多くを得ることができた。
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