本研究においては、瀬戸内海島しょ部地域に立地する愛媛県弓削町(弓削島、佐島)、愛媛県魚島村(魚島、高井神島)、愛媛県関前村(岡村島、大下島、小大下島)の1町2村(7島)を対象に調査を実施した。調査方法は、ヒアリング調査を中心として、訪問面接調査を実施することにより研究課題に取り組んだ。 これらの島々は離島地域であり、過疎化高齢化の深刻な生活基盤の変化に見舞われている。とりわけ世帯数が激減し、高齢者の島と変容しつつあるのは、魚島村の魚島と高井神島、及び関前村の大下島と小大下島である。そこで、これら4島の65歳以上の高齢者世帯全世帯を対象に訪問面接調査を実施し、住民の生活実態や意識、地域活動の状況や介護問題など地域生活の課題について検討した。 島民の意識は、「ずっとすみ続けたい」、「できればすみ続けたい」が90%を上回っており、これからも島での生活を希望している。島に住み続けたい理由として、「近所づきあい」、「自然の環境」、「子供や友人・知人が住んでいる」が多くあげられている。他方、改善すべき問題として、「交通の便」、「買い物の便」、「医療や福祉施設の整備」がある。また困っていることは、買い物や通院など島外への外出に関わる内容と、健康・体調に関わる内容に大別される。さらにヒアリング調査の結果から、この島で生活をしていく上で不安なこととは、生活の不便さではなく、多くの住民が健康面への不安を抱えていることにある。離島という環境特性によって、住民(その大部分が高齢者)の地域生活を支援するためには、医療サービスの充実が要請されていることが明らかである。なお、弓削町と魚島村は越智郡上島町、関前村は今治市に合併・編入している。そのため、住民生活に及ぼす合併の影響について、今後の検討を要する。
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