16年度は15年度の研究をふまえ、下記の研究を行った。 (1)「対応困難事例」とは何をさすのか、先行研究から、整理を行った。 (2)先行研究を踏まえ、15年度の研究に引き続き、事例検討において提出された介護支援専門員の事例の地域性を考慮し、3ヶ所から一定数の事例を抽出し、研究者のディスカッションを通して、困難事例のカテゴリー化を行った。その結果、援助者の困難の捕らえ方にある傾向がみられることがわかった。これらのパイロットスタディを検証するために、援助者がとらえる「対応困難事例」のパターン化、カテゴリー化がより明確化され、抽出できるよう、相談援助面接の初期介入に焦点をあてた事例提出株式を作成し、介護支援専門員の研究にて用いた。17年度に向けて集まった事例の分析に入る段階である。 (3)高齢者のQOL向上を目指したケアマネジメント実践には、介護支援専門員の有する知識と技術が大きな要素となる。そこで、ケアマネジメントを実践していく上で、介護支援専門員が自身の知識と技術についてどのような自己認識をしているかについて、東北のA県の介護支援専門員現任者研修の参加者404名からの自記式アンケート調査を分析した。その結果、介護支援専門員の仕事に対して「専門性が高い」とには高い得点が出され、利用者からの理解を得られているには低い得点となった。また、知識と技術に関しては、とくに「面接」「利用者の力を引き出す」「クライエントの価値観の重視」には自身を持てていないという結果となった。この結果に関しては、2006年6月の日本社会福祉実践理論学会にて報告を行った。
|