今回の研究課題では、両親が離婚後の(孫としての)子と祖父母の間の人間関係に着目し、しばしば分断されがちとなる両者の交流を支援することを目的とした制度および政策に関する、基礎的な研究を行った。 本研究課題に関しては、わが国における当該領域の研究業績の蓄積が乏しい。すなわち、現在のところ基礎的な調査および研究を要する段階にある。そこで本研究課題においては、まず個々の検討項目に関する各種文献・行政文書・資料等の収集と分析を行うものとした。 その際、今回与えられた研究期間が複数年にわたって継続していることから、研究対象として取り上げた各国の現行制度や近年の政策動向の検討と併せて、制度および政策の杜会的背景や歴史的な沿革等についても検討項目に加えた。 研究初年度となる平成15年度は、本研究課題の採択時期等との関係から当初の検討項目の順番を若干修正し、研究対象とした各国における下記の諸点について分析と検討を行った。 (1)現行法の基本構造について。特に、(離婚等により)離別した祖父母と孫との交流をめぐる法的枠組について。また、「祖父母の権利」および「子の福祉」の法理について。(2)各国の社会的背景について。特に、人口構造、世帯構造、共同体のあり方について。家族関係に関する各種団体の主張およびその杜会的影響等について。また、政府の社会福祉政策および家族政策のあり方について。 この研究成果については、上記の通り課題採択時期等との関係で今年度の検討項目に変更を加えたこともあり、現時点ではまだ調査・分析の結果が不十分な諸点があるものと判断し、次年度の研究がある程度まとまった時点で学術論文の形で公刊することとした。
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