本年度は厚生・労働省試案による「福祉サービスの第三者評価基準」、とりわけ「平成13年度版障害者・児施設のサービス共通評価基準」に焦点を当てて、知的障害幼児・児童福祉施設のためにより細分化した「評価基準」の作成を目指した。具体的には下記の手続きによって研究を進めた。 a.理念から見た「共通評価基準」の検討:文献調査 「共通評価基準」は福祉施設の管理・運営システムの評価基準として優れているが、障害乳幼児の通園施設や障害幼児・児童更生施設利用者への「発達的視点」・「人間関係」・「支援内容」・「支援方法」等の項目数やその内容の質的項目に問題がある。既に公表された厚生・労働省の「共通評価基準」や東京都の「評価基準」を始め、各県の「評価基準」や「評価事業」の報告書、日本知的障害者福祉協会調査・研究委員会編の「知的障害児・者施設における支援メニューの整理と体系化に向けて-第I次研究報告-」、日本知的障害者福祉協会第三者評価基準検討委員会編『知的障害施設における第三者評価のあり方』の比較検討も行ったが、それらの「評価基準」も厚生・労働省試案の「福祉サービスの第三者評価基準」に準拠したもので、同様の問題点が指摘される。今後、さらに三谷・古屋は共同して、ノーマライゼーションの原理、QOLの原理、共生の原理の観点から、保育園の第三者評価基準をも視野に入れながらさらに妥当性の高い評価基準を作成する。 b.実態から見た「共通評価基準」の検証:面接調査 厚生・労働省試案の「共通評価基準」の評価項目、評価内容、評価領域等を(1)愛知県と群馬県内にある知的障害幼児通園・児童入所施設の関係者に面接調査し、それら資料を分析した。質問項目に対し回答者はかなり解釈をしていたことから、質問項目が具体的かつ評価特定的なものにしなければならない。また、面接をした指導員は評価領域・内容はある程度、評価でくるが、質の評価には不十分であるとの感想が多かった。 c.障害幼児・児童更生施設に特定化した「評価基準」項目・細目の開発を目指して、より妥当性・信頼性の高い評価項目・評価基準細目の作成に一部、着手した。
|