研究概要 |
H16年度の研究実績の概要 1.介護用の福祉用具等の有効性について人間工学の視点からの検討 特別養護老人ホームで社会福祉士の実習を行った某大学の3,4年生を対象に,施設での福祉用具活用の実態,福祉用具に対するイメージを知るためのアンケート調査を行った.その結果,(1)施設によって福祉用具の利用率に大きな格差がある.(2)身体的負担の大きい介護動作に対しての福祉用具の利用率が低い.(3)施設によって,排泄介助時の衛生面に対する考え方が大きく異なる.(4)リフトを利用して利用者を移乗させるスペースが狭い--などであった.特別養護老人ホーム等の社会福祉施設では,ケアワーカーの身体的負担の軽減,利用者の衛生面の向上を図るため,積極的に福祉用具を導入するべきである.福祉用具をうまく活用できれば,ケアワーカーの身体的負担は軽減する.また,利用者にとっても生活が,より安全で自立性が高まることが期待できる. 2.社会福祉施設の安全衛生管理の実態 A県内の社会福祉施設(1,876施設)に安全衛生管理の実態調査を郵送法で行った(回収率23.9%).その結果,一般定期健康診断の実施(75.9%),雇い入れ時安全衛生教育の実施(37.3%),衛生管理者の選任(20.5%),安全衛生推進者の選任(20.8%),産業医の選任(17.4%)--であった.安全衛生管理体制および安全衛生活動が不十分であることが分かった. 3.労働安全衛生マネジメントシステム構築の必要性 福祉施設の事故の予防のためには,利用者側の「福祉サービスのリスクマネジメント」の前提として,従業員側の「労働安全衛生のリスクマネジメント」が必要である.そのためには,労働安全衛生マネジメントシステムの構築が重要である.「労働安全衛生マネジメントシステム」の中に,施設の重要な構成員である「利用者」に対する配慮を組み込むことによって,「福祉サービスのリスクマネジメント」も満足させることができる. 4.安全衛生教育プログラムの構築 KYTとリスクアセスメントを連携させた安全衛生教育プログラムは有効である.
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