研究概要 |
平成15年度に計画していたように,精神保健福祉援助実習教育における評価に関して,先行研究をレビューした。その結果,実習に関する評価項目と評価基準に関する文献については,概説的なものはあるが,実証的なデータに基づくものに関しては,なかった。 また,このことを受け,実習評価に関する項目と内容に関する質的研究を行うために,基礎データの収集を行った。グラウンデッド・セオリーにもとづいて調査を行うため,配属されている実習先で行われている実際の実習指導内容,並びに実習終了後に実習担当教員が行うフィードバックの内容を録音した。現時点で,録音したテープは約40本となっている。今後必要に応じて,録音を追加する予定である。 これらのテープを逐語録にして,現在グラウンデッド・セオリーに基づく分析を継続中である。まだ一部分の分析しかできていないが,いくつかのことが発見できた。それらは,次のようなことである。(1)実習項目に関しては,項目そのものがあいまいであり,実習指導者はその項目を十分に把握していない。(2)評価基準は明確ではなく,そのために学生にその基準が認知されていない。(3)想定していなかったが,評価項目と評価基準に加えて,評価について伝える方法や手順などを明らかにする必要があることが分かった。(4)評価項目,評価基準,評価方法は関連しており,全体像を実習指導者が十分理解しておく必要がある。(5)実習評価は,評価する者と評価される者との共同作業であり,上記のことを共有していることが求められること。
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