研究概要 |
本研究は,対人関係形成の初期段階において,日米では関係に対する期待にどのような文化差が見られるのかを明らかにするために実施された.これは平成15年度から平成17年度までの3年間科学研究費補助金の援助を受けておこわなれた研究の最終年度となる. 本研究の主たる目的は2つに大別される. a)日米では,初対面の相手とのやり取りのなかで,正常の範囲内の行動から奇異に思える行動までの範囲にどのような文化差が見られるかをあきらかにすること. b)日米では,新しく親しくなった相手が形成している別の友人関係に自分がかかわること(あるいは自分の友人関係に相手がかかわること)に対してどのような意識の違いがあるかを検討すること. 上述の研究目的を検討するために,平成17年度は計2回の調査研究を実施し,これらの研究から以下の点が明らかにされた. ・対人関係の初期段階において,日本人は初対面の相手とニュートラルに,そして慎重に接することが通例であると考えるのに対して,アメリカ人は関係形成のために積極的にふるまうことが通例であると考えている.例えば「笑顔」で接することは,アメリカ人の場合常識的な行動であるが,日本人の場合かえって相手に奇異な印象を与える可能性があることをこの結果は意味している. ・関係の初期段階では,アメリカ人のほうが日本人よりも,新しく親しくなった相手を自分の友人関係ネットワークに積極的に取り込んだり,自分が相手の友人関係ネットワークに積極的に参加しようとする意識が強い.
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