研究概要 |
集団概念と集団適応との関係を調べるために,国立少年自然の家における長期野外生活体験に参加した児童生徒を対象に,集団適応度を3人の評定者により調べた。集団適応度に関する独自に作成した14項目からなる質問紙を用いて,他者の目から見た客観的な適応度を因子分析したところ,「集団への貢献」因子と,「活動性」の因子が得られた。さらに,以前の科研費により作成した魚や人の集合運動を提示するプログラムを用いて,スクリーン上に集団行動する魚の仲で,一匹だけ異なる動きをする魚を提示し,その魚が「どのように感じていると思うか」を質問した。このときに,否定的な反応をする程度,肯定的な反応をする程度を調べた。その結果,強い効果は見られなかったが,集団のなかで孤立している傾向のある子どもが,単独の魚を見ても否定的なイメージを持つ傾向がみられた。そして,そうした子どもでも,集団への適応が向上するとともに,孤立した魚への否定的イメージが低減する傾向があることが分かった。 このような研究から,不登校児などの集団不適応児童の診断などに,このような手法を用いることが有効である可能性が示されたと言えよう。
|